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転換点としての再評価、現在にまで及ぶ影響
19世紀の「世界大戦」の全貌を初めてまとめた戦史の決定版。
トルストイの陣中日記やナイチンゲールの活躍は有名だが、実態はあまり知られていない。
地政学的には、滅亡に瀕するオスマン帝国、南下政策を取るロシア帝国、ナポレオンの敗北から立ち直ろうとする第二帝政フランス、アジア市場を確保しようとするイギリス、オスマン帝国支配を脱しようとするバルカン半島のスラヴ諸民族、ロシア支配を脱しようとするカフカスのイスラム諸民族などが、複雑に絡み合う「帝国主義戦争」であった。また、各派に分裂して相互に抗争するキリスト教とイスラム教が連携し、対立する「宗教戦争」でもあった。
新兵器のミニエ銃が導入され、兵站補給に蒸気船や鉄道が利用され、電報が活用され、新聞報道と世論が重要な役割を果たすという、まさに「近代戦」の始まりであった。
また、一時休戦して死体の収容に当たるなど、最後の「騎士道」的戦争でもあった。
現在、ロシアに編入されたクリミアとウクライナ問題をはじめ、21世紀の国際紛争を歴史的に理解するための「教科書」ともなる大作。解説=土屋好古
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