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本書は講義録であって19世紀における代数学の「完全なる歴史」を書き上げようとするものではない.構造的な代数学が旧態の代数学から最終的に巣立つに至るまでに誕生した多様なアイデアが見せる葛藤を追い,学生たちが数学史に習熟することを意図した.
古典的な代数学から現代代数学に至る多様な旅路に見られる何人もの数学者たちがそれぞれに問題をどう定式化して取り組んでいったかを解きほぐし,いわば数学における大いなる出世物語,すなわちGaloisの理論や代数的数論等が立ち上げられ,展開された紆余曲折の経過を眺める.
数学史の研究が追求するところは,時に応じ取り上げられた研究課題が種々のアイデアにより多彩に展開される景観を一望する位置に立って,数学の諸相を満喫することにある.
読者は本書を通して数学的諸結果のありようを確実に把握し,それらが数学の発展にどのような影響をもたらしたかを学び取られたい.
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