愛法と呪法の博物誌

愛法と呪法の博物誌

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出版社
説話社
著者名
藤巻一保
価格
4,950円(本体4,500円+税)
発行年月
2023年1月
判型
A5
ISBN
9784910924021

本書は『呪いの博物誌』(2005年、学研)に大幅な加筆修正を加えて改題したものです。

本書は古今東西にわたる奇怪で珍妙な呪法を紹介した1冊です。
第一章は浮気封じに恋占い丑の刻参りなどの色恋の関する愛憎の呪法、
第二章は脳髄に糞尿、バイアグラなどの猟奇的薬物とその生成呪法、
第三章は悪魔、魔女、巫女に死霊などの黒魔術、
第四章は縁起かつぎや摩訶不思議な民間呪文など、
第五章はイカサマ呪術やエセ祈祷、第六章は「結び」と呪術の関係、を紹介しています。
そのどれもが「ドロドロ」としたものばかりで、読む人は目を背けたくなるかもしれません。
しかし、著者はこのドロドロこそが人間が人間である以上は避けて通れない、人間の本質的・根源的なものであるといい、共生すべきものであるといいます。
「呪法という、逸脱し、暴走した想像力の現場を通して、われわれはむきだしになった、非合理そのものの人間存在と向き合うことになる。
人間は、なんと哀れなものだろうと思う方もいるだろうし、だから愛しいという方も、だから度し難がたいと思う方もいるだろう。
受け取り方は、もちろん各人の自由だ。
筆者はただ、この人間社会で実際におこなわれてきたドロドロの現実を示そうと思うのである。」
その思いでこの1冊はまとめられました。
今回、新たな版として図録含めて大幅に修正するにあたり、著者は原著で示したこの状況は、現代になり、より一層混沌としたものに向かっていると指摘します。
「これは人類が初めて経験する事態だ。
人間そのものが抱える「ドロドロの現実」は昔と同じでも、人間社会を成り立たせ、動かしていく仕組そのものが、根本から変わってきている。
古人と同じようにモノや人や自然とじかに関わりあいながら生きることができない新たな世の中で、人間の心がどうなっていくのか、先行きは見えない。
愛法も呪法も、自然の中で働いている心霊的なものとの関係を取り結び、利用し、動かすために行われてきた。
けれどもいま、心霊的なものの領域は、着実にサイバー空間へと移行し始めている。
サイバー空間自体が、体外に生み出された目に見えない巨大な無意識領域、心霊主義の立場でいえば、巨大な霊界になりつつあるのだ。
本書を読み返しながら、そんな思いを強くした。」
本書で紹介される数多の呪法、そのドロドロが読者にとってどのように作用するのか、精神のガス抜き的安全弁なのか、人格崩壊につながる禁断の麻薬なのか、それは各自が判断していただければと願います。

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