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失語症の研究の歴史が、私たちに教えてくれること。
本書の目的は、失語症を鍵として、人間の言語の本質を言語学、心理学、哲学、あるいは人類学といった広い視点から紐解いていくことです。
失語症は明らかに人間の言語の本質に関わる問題であり、人間の精神活動、さらには人間存在の根底を支える能力に対する脅威です。失語症からの回復をめざすリハビリテーションの実践には、失語症というものをどのような本質の問題として理解するのかという基礎知識が欠かせません。
本書ではこれまで主として脳・神経科学的あるいは神経心理学的な機能研究によって理解が深められてきた失語症に対して、「日常言語」、すなわち人間のコミュニケーション行動を言語がどのような形で成立させているのかという観点から光を当てることによって、よりいっそうリハビリテーションの実践に近接した知識を提供しようというものです。
失語症のリハビリテーションに携わる言語聴覚士はもちろんのこと、失語症を有する感覚・運動障害のリハビリテーションに携わる理学療法士、作業療法士にとっても必読のテキストです。
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