19世紀半ばから第二次世界大戦が終結するまでの約100年間、フランスの交易拠点として発展した「上海フランス租界」。この地にはフランス人のほか、革命を逃れてきた白系ロシア人、富裕層・知識層の中国人など、さまざまな国籍の人々が暮らし、豊かな文化・芸術が花開いた。「東洋のパリ」は、世界の人々を引きつけるとともに、中国や日本の文化を欧州に伝える役割も果たすようになる。上海フランス租界をフランス・中国・日本の三か国を結ぶ場と捉え、具体的な人物・事象を掘り下げることで、人々の暮らしから文化・芸術、政策・外交までを多角的に考察する。音楽、美術、文学、教育、メディアなどの幅広い視点から、フランス語新聞や未公刊資料などを多く用いて実証的に明らかにする、日本では初めての書。上海史、アジア近代史、日仏関係史、比較文学・比較文化、ポストコロニアル研究、グローバル文化史に一石を投じる意欲作。
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