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コーヒー嫌いが始めた豆屋がなぜここまで成長したのか?
人口増加数道内1位の町で現在形で起きている奇跡の物語
ある日突然、サラリーマンの夫から「独立したい」と言われたらどうしますか? 安定していた収入がゼロになるという恐怖、考えただけで恐ろしくありませんか? それも、私が苦手としているコーヒーを仕事にするというのです! 「無理です! 私にはとうてい一緒にできそうにないから、諦めてほしい」と、何度も断りました。夫の職歴とはまったく関係のない、「コーヒー豆の自家焙煎屋」をやってみたいと言われ、愕然とするしかなかったのです。しかし夫は柳に風、「あなたならできるよ! 子どもが大きくなったとき、意味のあることにチャレンジしていたほうがよくない?!」と、折にふれ、笑顔でくりかえし誘ってきたのです。
そんなやりとりを経て、ついに夫婦で起業、「ヨシノリコーヒー」を開店。結婚後に大都会旭川市から東川町に移住して四カ月、2015年4月5日のことだった。私の生活は180度変わってしまった。しかし、それは想像を超える「奇跡」の連続であった。
本書で描いたのは、開業後八年にわたる奇跡の物語である。さまざまなメディアで紹介されたこともあって多くの有名人が来店したこと、映画『写真甲子園 0.5秒の夏』に出演したこと、「コーヒー豆屋」としてのポリシーなどにも触れている。スペシャルティコーヒーを専門とする「ヨシノリコーヒー」のコンセプトは「better coffee better life(より良いコーヒーで、より良い暮らしを)」。それは東川町という特別な空間に培われたものでもある。遠く離れた地にいる生産者から届く豆がカップ一杯のコーヒーになるまでを辿りつつ、東川町の空気を体感していただければと思っている。なぜなら、移住先が東川町でなかったら、奇跡の連続はなかったからだ。
日々展開される、実にユニークな人々とのかけがえのない時間。小さなコーヒー豆屋が紡ぐ「一味プラス」されたストーリー、自分で言うのも何だが実に面白い。最高の一杯をご用意してお待ちしておりますので、是非ご来店を!(くつわだ・さよ)
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