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本書で特徴的なのは、推薦システムの本質は何かということについて、予備知識がなくても理解できるように、例を用いながら要点を簡潔に述べようとしている点にある。なかでも、マトリクスの空欄を埋めるマトリクス分解アルゴリズムは本書において中心的な位置を占めている。
このアルゴリズムは、単に商品販売促進に使われているというだけでなく、感染症リスク予測や項目反応理論など医療や教育などの分野へ応用することも可能であり、本書ではさまざまな分野に応用される推薦システムアルゴリズムの多彩な姿も紹介している。そのうえで、一般的な推薦システムに使われる協調フィルタリングやモデルベース、コンテンツベース、知識ベース、アンサンブルなどについても説明している。
推薦システムは、決してある専門的な分野に特化して閉じた領域の中で成立するような固定化されたものではなく、数学、統計、情報分野のさまざまな要素がネットワークとして結び付いて有機的に機能しているものである。そこで、理工系大学での数理的な知識がなくても本書への理解が容易になるように、線形代数の基礎、統計的な基礎、数値計算や最適化法にかかわる基礎について重要と思われるところは本書の付録で簡潔に説明した。
推薦システムの仕組みがわかれば推薦システムでできることもわかり、さらにいろいろな場面への適用も想像できる。本書はそのような本である。
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