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◆第一句集
海を出て雨を厭ひぬ鮑海女
もはや吟行句ではない。「鮑海女」への慈愛にみちたまなざしと労わりの心
は、苦楽を分かち合うほどの連帯感があればこそのものだ。
序・河原地英武
◆自選十句
青き踏み十七文字を反芻す
紫蘇揉みて生命線のまだ確か
抜く足に沈む足あり蓮根掘る
母の日やしばし天地に棲み分れ
今生は色即是空紅葉散る
人麻呂に座を一つ空け月の宴
死を賜るほどの芸なし玉椿
雪吊りの縄まだ風と遊びをり
原爆を知る樹知らぬ木法師蝉
児を呑みし津波の海へ雛流す
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