医療の現場では、インフォームド・コンセントが求められるようになるとともに、例えば生活習慣病の治療にあたっては患者の行動変容も求められるなど、患者の納得感を得ることが欠かせない。加えて昨今の社会経済情勢から医療機関の経営は厳しさを増しており、顧客満足を得ること、さらにはそれをスタッフが実現していくことが重要となっている。すなわち、患者の要望に寄り添うことを目指すマーケット・インの考え方の必要性が高まっている。
一方これまで、医療組織における「顧客(=患者)志向」という考え方は十分ではなく、ともすれば「良い設備とスタッフを揃えればおのずと客(患者)が集まるだろう」というプロダクト・アウトの考え方に陥りがちだった。さらに、コロナ禍で医療機関への受診希望者の集中が起きたり、医師や看護師の業務過多が社会問題となっている中、組織として医療サービスの品質を維持・向上させていくことも大きな課題である。
サービス・マネジメントは、人・モノ・資金・情報といった資源を「サービス志向」の理念の下で連携させ、組織の取り組みとして、改善のサイクルを回しながら安定して質の高いサービスを提供するための理論であり、他業界ではすでに広く取り組まれている。
本書は、そのサービス・マネジメントの考え方を医療組織に特化して学べるテキストである。その基本的理論から、スタッフの業績管理・評価、人的資源管理、IT活用等の実務に活かせるフレームワークまで、事例も織り交ぜながらトータルに学ぶことができる。
患者すなわち顧客への価値を提供するための具体的な手法(プロセス)が提示されており、医療福祉経営学を学ぶ学生はもちろん、現在医療組織のマネジメントに携わる方におすすめ。
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