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中央銀行は自由な市場メカニズムを尊重し,通貨価値の安定と維持を担い,それとともに政治的中立性と自律性を保つことが要請されている。そのための責務は「物価の安定」と「金融システムの安定」を両輪として「通貨の安定」を維持することにある。
本書は世界の中央銀行について内外の文献や資料を駆使して歴史的な経緯と現状を観察しつつ,わが国の中央銀行である日本銀行の実態を総合的に考察する。
中央銀行業務の基盤である銀行券の債務性とは何か,銀行券のシーニョレッジ問題,政府紙幣との違いなどを検討し,さらに金融システム安定化政策を支える「最後の貸し手」機能について,バジョット原則,日銀法の規定,「最後の貸し手」機能の拡張などを通して考察する。さらに中央銀行の独立性と統治機構の関係,財務の健全性,日本銀行の金融調節や「日銀流理論」批判についても分析する。これらの現実を踏まえて,中央銀行が政策や業務を実施するうえで保持すべき一般原則を提示する。
歴史的に形成された金融政策が異次元の金融緩和政策など新たな課題に直面する現在,中央銀行の本質や行動基準について改めて確認することが肝要である。
研究者のみならず金融エコノミスト,実務家など中央銀行に関心を持つ読者にとって他に類のない必読書。
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