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「津久井やまゆり園事件」を歴史・犯罪論的にみたとき、「戦争と福祉と優生思想」という主題が現れる。
第1部として、事件の起きた「重度知的障害者入所施設」が戦後福祉の宿痾であることを歴史的に論じる。
第2部では、裁判がなぜ「植松独演会」と称されたのかを、刑事事件の形骸化の問題として描き出す。刑事事件を長年取材してきた著書による、供述調書や傍聴記録の分析は秀逸。
第3部は、「植松聖」を時代のシンボリックな存在と見立て、津久井やまゆり園事件が私たちの生きているこの社会からどうして現れてきたのかを記した「犯罪論」。永山則夫事件から50年。犯罪の質が経済的な動向、新自由主義や合理化の流れのなかでいかに変容してきたかを記す。
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