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関西人の機知と哀愁がつまった
傑作短編集
大阪に生まれ、大阪で生き続ける大人たち、若者たち、子供らの
人生を活写した、八つの風景です。
「あの橋のむこう」:38歳のデザイナー。東京の生き馬の目を抜く世界でサバイブしているが、クリスマス前に故郷の大阪に戻る。悲惨な家庭を共に生き抜いた妹に会うために。
「さよならホームラン」:父の再婚により、「あたし」には弟ができた! 全く興味のなかった野球を、弟を応援するために、毎週観に行くようになる。
「婚活バーベキュー」:職場の後輩は育児中。残業をしない彼女の仕事の肩代わりをする「私」も、実は焦っている。お見合いバーベキューに行くが、よいと思える男性はおらず、「バーベキュー奉行」に徹することにした。
「ポロロッカ」:妻の流産で心のはなれかけた夫婦。二人で過ごす週末から逃れ、夫は淀川沿いのハイキングに出掛ける。
「趣味は映画」:親の仕事の都合で、東京の高校から大阪の高校に編入した「俺」。「趣味は映画」などと自己紹介したのが運のツキ、同級生女子の映画自主制作に巻き込まれる。
「黒い犬」:子供のできない若い夫婦は犬を飼い始めるが。
「自由の代償」:スーパーで激安食品を買い込む中年男性。実は個人投資家で、投資のみでつましく暮らしている。組織に勤めるのが大嫌いなのだ。
「ザリガニ釣りの少年」:母と二人で貧しく暮らすと噂される小学生・須野木。クラスの男子らにランドセルを蹴られても怒らず、放課後はひとりでザリガニ釣りを楽しんでいる。
解説・北上次郎
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