新宿ナイトガール

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新宿ナイトガール

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出版社
東京キララ社
著者名
柊一華
価格
2,200円(本体2,000円+税)
発行年月
2022年12月
判型
A5変
ISBN
9784903883656

禁猟区の時間(都築響一による「まえがき」より)

 この写真。最初に見たときはフォトショップかイラストレーターでいくつもレイヤーを重ねながら仕上げた複雑な構成の作品だと思ったら、実はトイカメラのHOLGAでフィルムの巻き上げがうまくいかなくて(トイだから)二重露光になってしまったという……はからずもこうなっただけの写真なのだった。こういうウッチャリをかましてくれるのが、アマチュア写真の醍醐味でもある、と僕は思う。
 神田馬喰町にKKAGという写真ギャラリーがあり、そこで年に1、2度「都築響一の眼」という展覧会をやらせてもらっている。ふつうのギャラリーや写真美術館ではなかなか取り上げられない写真家の作品を見てもらいたくて始めた連続企画で、今年(2022年)6月に「柊一華写真展禁猟区」と題した個展をキュレーションさせてもらった。
 そのとき書いた紹介文はこんなものだった―。
 一華さんと会うたびに、東京の夜の匂いってこういうのかと思う。
ホステス、風俗カメラマン、ギャラリーバー勤務、ミストレス、緊縛師、SMクラブオーナーまで、いろんな顔をして東京の夜の海を泳ぎながら、たくさんの出会いをカメラですくいとってきた。
 本格的に写真制作を始めたのは2013年から。でも昆虫採集家の父に、小さいころに一眼レフを持たされたのが写真と付き合う始まりだったという。「夜咲くネオンは嘘の花」と唱ったのは藤圭子だったけれど、お父さんは花に寄り添う蝶々を撮っていたのに、娘は夜咲くネオンの花園に舞う蝶々を撮るようになったのだった。
 一華さんの蝶々たちが好きなのは、男にはけっして見せてくれない、ふっと息を抜いた隙だったり、熱唱のあいまのわずかな息継ぎだったり、そういう瞬間を見せてくれるからだ。完璧な化粧の奥にほろりと透けて見える素顔のいとしさ。一華さんはカメラという小さな機械を使って、蝶々たちと情を交わしているのだろう。(後略)

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