〈本書を通じて目指したのは、なんらかの本質を持つようなアーカイブなるものが自己実現するという進歩史観的な歴史像を提示することではない。むしろ、雑多な思想や制作や営為が合流した結果として、わたしたちが現在のデジタル時代のアーカイブを想像できるようになっていることを示そうとした。複雑なアーカイブという現象を、単純化したモデルとして提示するのではなく、むしろ個々の事例に即して解像度を上げて理解しようと試みたのである〉
デジタルアーカイブの定義の変遷から、文書をデジタル化する意味と問題、保存と活用の現状、博物館・図書館・文書館を貫く効用と課題、自治体史や研究者資料における役割、サブカルやユーチューブと著作権問題、複製技術の歴史など、気鋭の研究者11名による論考を収録。デジタル時代の今日において「アーカイブ」と呼ばれるものに合流してきたさまざまな系譜を歴史的に明らかにするとともに、それが社会に作用する仕方の見取り図の全貌を示す。
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