香獣

香獣

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出版社
金魚屋プレス日本版
著者名
小原眞紀子
価格
1,701円(本体1,546円+税)
発行年月
2022年11月
判型
四六判
ISBN
9784905221104

元CAの日田芙蓉子(ひだふよこ)は離婚を機に、CA時代に知り合った総会屋の糟谷(かすや)の事務所で働いている。表向きはマナー講師だが、CA時代の経験を活かして企業秘密を探る調査員だ。糟谷は〝女の優雅さは金になる〟ことを知っていて、芙蓉子を女しか出入りできないハイソな場所に派遣している。芙蓉子はふとしたきっかけで老舗化粧品メーカー・エゼーナに潜入することになる。エナーゼでは各界の企業経営者や重役を招待して優雅な聞香の会を開いていた。この会にはなにか裏がありそうだ。またエゼーナ社長の小宮路秀哉(こみやじひでや)には十樹(とき)という弟がいて、ほとんど言語能力のない獣(けもの)のような若者だが異様に鋭い嗅覚を持っている。芙蓉子の表向きの派遣理由は十樹に最低限の行儀作法を教えることである。ただ何もつかめない間に、エゼーナの社員やアルバイトの若い女たちが次々に怪死してゆく。自殺として処理されるが芙蓉子は疑念を抱く。やがて優雅な香道の、源氏香の図形模様が暗号として浮かび上がってくる。また十樹という〝香獣〟が謎に包まれた怪死事件はもちろん、女を惹きつけて放さない芳香を放ち始める。エゼーナが優雅な聞香の催しの裏に隠しているのは何なのか、なぜ香水メーカーの女たちが自死と見まがう不審死を遂げてゆくのか、言語能力なく異様な嗅覚だけを持つ十樹(香獣)はなぜエゼーナ化粧品の中核なのか。暴力を使わず武器も持たず、鋭い勘と知性と女の武器を巧に使って芙蓉子はエゼーナ化粧品の秘密と不審死の謎を解き明かしてゆく。評論集『文学とセクシュアリティ――現代に読む『源氏物語』』で『源氏物語』を古臭い古典としてではなく、現代文学にまで脈々と受け継がれる日本の小説の原点として鮮やかに読み解き高い評価を得た小原眞紀子による金魚屋ロマンチック・ミステリー第一弾!

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