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神奈川県横浜市磯子区の住宅地にひっそりと佇む小さな読書喫茶「本とお茶とときどき手紙 草径庵」。
2012年11月にオープンした「草径庵」の庵主が10年間の歩みをつれづれなるままにしたためたエッセイ集です。
草径庵の四季となにげない日常、お客さんとの交流、ライターとしての仕事などについて独自の視点で綴ります。
「閑事」について(著者より)
無用のこと。
幸田露伴の短編『野道』では春郊漫歩の誘いの手紙の封筒に添えられていた言葉として登場します。「急ぎでないので閑な時に開封してくれ」との意で、そうあると却って真っ先に見たくなるものだというくだりから、私も手紙の表書きに添えることがある言葉です。10年間で100号を発行したフリーペーパー『草径庵通信』の第1号の「今月の一冊」で『野道』は取り上げており、草径庵で催した「本の会」でも紹介したことがあるので、常連さんにはピンと来る方がいらっしゃるかもしれません。
人生を切り拓くヒントが読み解けるエッセイ集(出版社より)
本書の著者である安木由美子さんは読書喫茶を営む傍ら、“物書き”として活躍されてきました。安木さんの志向の根底にあるものは哲学者スピノザの思想です。スピノザの著書『エチカ』を読み解き、「良く生きるとは喜び多く、機嫌よく生きること」を実践してきた安木さんが綴った本書には、閉塞感が漂う現代社会をいかに楽しく生きていくかのヒントが隠されています。「何だかわからないけど楽しく生きるに尽きる」が実感できる著書です。
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