同時代美術の見方

同時代美術の見方

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出版社
藝華書院
著者名
三田晴夫
価格
8,800円(本体8,000円+税)
発行年月
2022年11月
判型
B5
ISBN
9784904706206

同時代の美術を見続けて30年、本書は世紀末から新世紀はじめまで、毎日新聞の三田晴夫記者による展覧会評(展評)を時系列に集大成したものである。過去を扱う歴史的な展覧会ではなく、ただいま現在われわれの目前に生起する美術、まさに同時代の美術を対象とした記録集であり、美術の「いま」という歴史の記録集ともなっている。

 個展からテーマ展、美術館から画廊街、ときに海外のビエンナーレなど、内外の美術状況をつぶさに目撃してきた記者の眼は展覧会の作品に何を見てどう論じてきたのか。その記述は、作品にこめられた作者の意図を解きほぐす過程で読者に考える契機を投げかけると言う姿勢で一貫しているだろう。一般社会面での美術報道といえば、技術を誇る流行の超絶技巧、あるいはオークションの高額落札値など、ポピュリズムに傾くものなどの多いのがこの国の実情だ。概ね一時の興奮で終わるそうした報道の裏面に着実に根を下ろし活発な展開を繰り広げているのが今や世界水準と言われるわが国の現代美術である。

 ここに収録された1000件余の個展評は、自己表現を超えた真の芸術表現とは何かを問うことで貫かれているが、そうした中で繰り返し問い続けられる問題もまたある。「ガラクタの反芸術」に象徴される60年代、現代美術の前衛たちが一旦は追いやった絵画は何ゆえにその彼らによって復権を果たしえたのか。あるいはまた、返還後半世紀を経てなお一括公開されない戦争画とは何かなど、観念主義とミニマルアートという表現の極限を迎えた70年代を経て80年代から90年代にかけて、反西欧主義と異文化への眼差しを含む多元主義の時代へと激変する現代美術史を一記者の眼から、いわば定点観測だから見えてくる芸術表現の展開の軌跡が本書である。芸術作品の機微に触れるとは作者と作品を通じて考える時間を共有することでもあるだろう。美術の「いま」を問うことは未来の価値を生み出すことにつながるとの確信の下に。

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