取り寄せ不可
夜を彷徨う孤独な男爵が
仮面を外したとき、乙女は――
貧しくも心やさしい娘アンジェラのもとへ
ある日、隣の伯爵家の跡継ぎダヴェントリ卿が訪ねてきた。
かつて英国一の美男子と謳われたこともある彼は、
戦場で醜い傷を負ってからというもの、仮面で顔を覆い隠していた。
そうやって隠遁生活を送る彼を、村人は“悪魔卿”と呼んで恐れた。
そのダヴェントリ卿が、私にいったいなんの用かしら?
アンジェラが恐る恐る尋ねると、彼は重い口を開いた。
「妻になってくれとは言わない。わたしの婚約者になってほしい」
彼の余命幾ばくもない祖父を喜ばせるための、偽りの婚約。
アンジェラは承諾した――心を閉ざした彼に恋してしまうとも知らず。
目を傷めたせいでまぶしい光が苦手なダヴェントリ卿は、昼は眠り、夜になると星の観察をするのが喜びでした。そんな彼の孤独を知り、アンジェラはしだいに心を寄せていくようになります。一方の彼は、仮面を外した顔に彼女が耐えられないのではと恐れていて……。
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