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本書では、20世紀前半のアメリカ・カリフォルニア州における日本人移民の児童保護政策と中間団体による事業の展開を分析し、「人種」によって子どもたちが分類、保護される過程について解明する。日本人移民の児童保護をめぐって、「人種」のイデオロギーがいかに作用し、どのような「保護複合体」が生成、活動したのだろうか。
第1部では、1900年代から1910年代のカリフォルニア州政府の児童保護政策について扱う。カリフォルニア州慈善矯正委員会は、要保護児童への対応を開始し、民間組織による孤児保護施設から、より「自然な家庭」を提供できる里親委託事業へ転換を図った。「白人」のクリスチャン・ホームの保持を掲げて「人種」別児童保護が構想された。この「人種」の差異は、知能テストという「科学」を利用して補強されていく。
第2部では、カリフォルニア州で日本人移民を対象として保護活動を展開し、州政府と日本人移民を媒介した中間団体に注目する。パリ外国宣教会の神父によって開始され、メリノール女子修道会に引き継がれた孤児院シスターズ・ホームと聖フランシス・ザビエル学校、日本人の社会事業家・楠本六一が設立した羅府日本人人道会と南加小児園に焦点を当てる。「人種」別の児童保護を中間団体がどのように解釈し、日本とアメリカの狭間でどのような保護事業を展開したのか。日本人移民の要保護児童が発見、教育される過程を考察する。
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