部落問題は近現代日本社会における社会問題の重要なひとつであり、その解決は
非部落民衆の部落民衆に対する差別的な言動と意識を改めるだけでなく、
部落問題を存在せしめている日本社会の変革をも必要とするものである。
したがって部落解放という課題は日本社会全体の問題であるだけに、
圧倒的少数者である部落民だけの自主的な行動によっては不可能であり、
圧倒的多数者の立場にある非部落民が部落問題に向き合うにあたっての
理解と努力が重要な鍵を握っていると言えよう。
1890年代からの部落改善運動と1910年代からの融和運動には、
多くの非部落民がかかわることになった。そして、1950年代後半から
部落解放運動の急激な発展を契機として部落問題に対する社会的関心が高まり、
1965年の同和対策審議会答申では部落問題の解決は「国民的課題」とされ、
非部落民を主体とする役割は徐々に大きくなっていった。
また、部落民であろうが非部落民であろうが部落問題に
向き合っているかぎり、何らかの逡巡や苦悩などが存在している。
つまり非部落民アイデンティティも射程に入れることは、
部落解放の外延的拡大に関係することに他ならない。
この本では、部落問題にかかわった行政・教育・法曹・社会運動関係者、
ジャーナリスト、作家など、近代以降に活躍した非部落民の人物と活動を紹介する。
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