2015 年に発刊された「食品工場は宝の山」は,好評裏に完売いたしました.食品工場に関する現場改善・生産性向上の書籍はほとんど出版されていない中で,多くのみなさまに支持され,感謝していただきました.食品業界は,日本のほこるものづくりのノウハウが生かされていません.それどころか,生産性が最も低い業界になっていて,この本が,そのような状態に抗するための一石として投じることができたのではないかと思います.
今回は,みなさまからのご指摘,ご要望を含め,我々のチームとしてたどり着いた認識のもとに考えた食品工場を取り巻く課題とそれに伴って必要とされるテーマを盛り込むものになりました.
まず,食品工場にとって避けられないテーマとしてあがったのは,HACCP の制度化でした.そのテーマに関して,世間で言われているのは,HACCP =品質向上と生産性向上は両立しないという誤った考え方です.むしろ,HACCP を正しく取り込むことで,生産性の向上に資することができるということを知っていただきたいのです.
また,工場の生産性を考えると,機械化,自動化がだれでも考えることです.しかし,工場を訪問すると,使われない機械が山のようにあったりするのが現実です.これはなにかが間違っているからです.そのような問題意識で改めて考えてみました.
また,生産性向上=現場改善といわれていますが,現場では成果がでているように見えても,会社として,成果がでていない,というケースがあります.これも何かが違うということで,生産と経営の視点を整理しました.
この間,食品業界に最もインパクトを与えたことは,コロナ禍でした.これは,世界を全く変えてしまいました.食が人間社会で,基盤であるとの認識を顕在化させました.したがって,自然を冒涜するとか,人間の偏向した利益のために,環境を破壊するのではなく,地球の存続のための志向こそが,求められる時代となっていることを,認識せざるを得なくなっています.食は自然との関連で基軸となる産業としても形成されています.
最後には,食品工場で,自動化と並んで混乱を与えているのが,工場建設です.食品衛生と矛盾する無知な工場建設が横行して,事業者を困らせています.これに対処する方法をお伝えしました.
以上のように,食品工場の真の改善のために,多くの課題を扱うことになってしまいましたが,これらを切り口に,みなさまが,工場に宝の山を見つけられることを期待いたします.
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