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サリヴァンは今日アメリカを代表する精神科医である。本書は、分裂病の入院患者に対する積極的精神療法の成果と、『現代精神医学の概念』を中間的出発点としたサリヴァンの思想の核心である。分裂病と強迫症の章はつとに名高い。
本書のもととなったサリヴァンの講義はチェスナット・ロッジ病院のバラード博士の家で行われた。ごく少数のエキスパートを前に、サリヴァンが一時間話し、つづけて一時間半討論という形が慣わしとなった。「よく私のグレートデンが暖炉の前のベッドに寝そべりにきて、サリヴァンはそれを合図に話し出すのだった。時には問題の解説にこの犬が引き合いに出された。そういう折り、サリヴァンはちょっと話をやめて犬の意見も聞いてみるという具合にその頭をなでてやるのだった。むろん議論が専門的となって白熱した烈しい応酬の行われることもあった。サリヴァンの気分は大きく揺れたが、実はわれわれの方も同様だった。サリヴァンの軽業師のようなみごとな離れ業には讃歎を惜しまなかったが、サリヴァンの話がどうも首尾一貫性を欠くように思えたときは活発な反論が出た。一人も一度も居眠りしなかったのは一種の記録である。サリヴァンが一座を支配しているときに眠る者などはいなかった。……サリヴァンの理論的立場の発展も、それと影が形に添うような、患者の洞察の深化の達成を援ける治療作戦も、共に事実に密着した推論にもとづく一世一代の芸術作品である。」(バラード)
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