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鹿児島の子どもたちの定番の遠足コースは知覧特攻平和会館見学だそうです。
そして子どもたちは、「道徳」でも「特攻」を学びます。
著者が「特攻」について取り組むきっかけとなったエピソードを紹介します。
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私が教師になって四年目、勤務校の一日遠足で訪問した時の二つの出来事を忘れることができない。
一つは、遺書のコーナーを見ていた時であった。
五、六歳くらいの男の子を連れた母親が、遺書を読み終えた後、
「あなたもこの人たちのような勇気を持たなきゃだめよ」と男の子に語りかけていたのである。
この母親が若者の写真と遺書から感じたことは「決死の愛国心」だったということである。
もう一つは、展示されている戦闘機の前で話していた語り部の言葉であった。
「みんな喜んで出撃していったのです。それを嫌だと思う人はひとりもいなかったのです」
私は、わが耳を疑った。「みんなとはあんまりだ」。
それを一緒に聞いていた新規採用の教師が私にこう言った。
「このままでいいんでしょうか」。
私が、社会科の教師として「特攻」について取り組む決心をした瞬間であった。
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著者は県内各地に残る「特攻」関連の資料館・遺跡をまわるフィールドワークや元特攻隊員への聴き取りを積み重ね、
学校の文化祭では「特攻の劇」の脚本を書き、特攻隊員・その家族・基地周辺に暮らす地元住民たちの戦争体験・
心情について子どもたちとともに理解を深めていきます。
本書は、著者が鹿児島県公立中学校の社会科教員として「命、人権は何より大切である」という価値観を、
その対極にある「特攻」を通して、子どもたちとともに学んだ実践記録です。
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