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現実と虚構を軽やかに往還する
ノーベル賞作家モディアノの華麗なテクストを精緻に読み解く
錯綜する記憶・意識・時間の流れを活写し、「現代のプルースト」と称されるモディアノ。その独特なテクストを「秘密」「謎」「手帳」「犬」「傷跡」「希薄な家族関係」「失踪する女性」などを鍵語に、その華麗なテクストを精緻に読み解く。
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はじめに--テクストの快楽を探して
?第一章 『小さな宝石』(二〇〇一年)
-忌避と愛着、あるいは母をめぐる物語
母との再会/「小さな宝石」としての娘、テレーズ/恐怖と執着/「小さな宝石」そして、小さな少女/森の闇中に捨てられた、黒いプードル犬/モロー=バドマエフと女性薬剤師/新たな出発点に立つテレーズ
?第二章 『夜の事故』(二〇〇三年) -記憶という迷宮のなかで
家族の不在/夜の事故/過去へと急転換する意識/過去からの使者 一匹の黒い犬/海緑色のフィアット、そしてジャクリーヌとの再会/だが、それでもなお不確かな世界
?第三章 『失われた青春のカフェで』(二〇〇七年) -ルキ、永遠の謎
ルキの物語/最初の語り手 国立高等鉱業学校の学生/第二の語り手 ピエール・ケスレィ/
第三の語り手 ジャクリーヌ・ドランク、愛称、ルキ/最後の語り手 ロラン/愛するが故の隔たり
?第四章 『地平線』(二〇一〇年) -失われた青春の時を求めて
失踪する女性、逃走する物語/ジャンとマーガレットの馴れ初め/マーガレットの隠された逃走理由?/二人の新たな仕事/逃げる女/幻想と現実/地平線の彼方へ-決定的な逃走/ベルリンへの旅
?第五章 『夜の草』(二〇一二年)-謎深き過去に身を任せて
物語の結構/家宅侵入する女/犬と原稿/ラングレ、過去の記録を明かす人/ダニーにいったい何があったのか?/ブランシュ男爵夫人……、そしてダニー/文筆家の誕生-ブランシュ男爵夫人からジャンヌ・デュヴァルへ
?第六章 『あなたがこの辺りで迷わないように』(二〇一四年)
-書物に託された積年のメッセージ
反復的な変奏/アドレス帳の紛失-物語の出発点/過去の自分を探し求めて/過去を語る三人の証人/アニー・アストランからの手紙/アニーとの再会/すべては暗闇の彼方に
?第七章 『眠れる記憶』(二〇一七年)-反復と消失の彼方に
女性たちをめぐる物語/スティオッパ氏の娘/スペイン在住の女性、ミレイユ・ウルソフ/
ジュヌヴィエーヴ・ダラムとの不思議な経緯/忘れ去りたい女性、ユベルサン夫人との再/名前のない女性/拳銃による殺人/同棲と失踪/「眠れる森の美女」の館を目指して/現実と虚構のに
おわりに-現実と虚構の軽やかな往還
参考文献
索引
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