近年急速に発展を遂げる故郷を舞台に 運命に翻弄された家族の肖像を
過去・現在・未来を交差する光によって描き出す、中国山西省出身の若手写真家・王露の初作品集。
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『Frozen are the Winds of Time』は、1989年中国・山西省生まれ、東京を拠点に活動する写真家・王露の初の作品集です。
本作は、王が長年避け続けてきた故郷である中国の地方都市・太原市と、そこで暮らす自身の家族―父と母に対峙し、撮影した作品です。
本作の舞台である太原は、近年の急速な都市開発推進により、高層ビルや高架橋が乱立し、街は綺麗に整備され、王が帰省するたびに見慣れた場所は消失していきました。
一方で、新しい高層ビルで暮らす、現在の王の父と母にもレンズは向けられます。王が12歳の時、父は交通事故で脳に重い障害を負いました。カメラを向ける娘のことを理解できず拒絶のポーズをとる父、事故直後の苦悩が書かれた母の日記、事故の前に撮影された家族写真などのイメージが並び、いびつな家族の様相を呈示します。
“時間の風”にさらされた街と、話し方や行動様式は以前からあまり変化しない市民たちのコントラストを背景に、そして事故の日を境に時間の流れが変わってしまった一つの家族の肖像が、過去、現在、未来から照射されます。
ある一つの家族と都市を、透明感のある写真でありのままに捉えた作品は、国境や文化的背景を越え、多くの人々の無意識部に訴えかけるでしょう。
写真家の岩根愛氏、映画監督の賈樟柯(ジャジャンクー)氏の寄稿文を収録。
町口覚氏による造本で、クロス装上製本・表紙は2種類です。
(取次経由はランダム出荷となりますことをご了承ください。)
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「二つの時間を行き来するその構成は、父が認識する世界へと、パラレルに連なるトンネルのようだ。それはカメラを持つ娘へ父が発信した、一見拒絶を象った返答に対しての、写真家からのさらなる応答にも見える」 ──岩根 愛(写真家)
「都市の発展は、物質的な豊さをもたらすだけではなく、私たちの対人関係や社会的関係にも大きな衝撃を与えている。新しいものと古いものが移り変わりゆく今こそ、多くの人に王露さんの作品を見てもらいたいと感じている」 ──賈樟柯(映画監督)
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王露(Wang Lu):1989年中国山西省生まれ。武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。主な賞歴に、LensCulture Critics’ Choice 2020 Award(2020)、キヤノン第2回SHINES入選(2019)、キヤノン写真新世紀佳作 (2019)、第20回写真「1_WALL」ファイナリスト(2019)など。2022年、British Journal of Photographyが選ぶ今年注目の写真家に選出。
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