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シェリ=ビビよ!
やさしかった肉屋見習いのおまえが、
なぜ、殺人鬼になってしまったのか――
すべてはファタリタス!(運命!)
シェリ=ビビはある偶然に殺人を犯し、
以来殺人が殺人を呼び前代未聞の極悪人として
流刑地カイエンヌへと向かう監獄船バイヤール号の途上にあった。
……囚人たちは待っていた、シェリ=ビビからの蜂起の合図を!
阿鼻叫喚! 看守を襲う800人の反乱!
船を支配下に置いたシェリ=ビビたちのもとへ遭難者が流れつく。
そこには憎きデュ・トゥシェ侯爵がいた。
シェリ=ビビは侯爵の父を殺害した濡れ衣を着せられ、その妻は初恋の相手セシリー。
因縁の下劣漢に恐ろしい復讐を考えつく……
外科医ル・カナックによる言語を絶する方法で侯爵と入れ替わったのだ!
シェリ=ビビは夫としてセシリーと夫婦生活をはじめる?
すべては〈ファタリタス(運命)〉に導かれ、フィナーレの大スペクタクルは圧巻!
フランス華やかなりしベル・エポック期に人気を博し、〈最後の連載小説家〉と称されるガストン・ルルー。
『黄色い部屋の謎』と『オペラ座の怪人』で売れっ子作家となったルルーが、1913年に満を持して《ル・マタン》紙に連載した怪人シリーズ。
極悪非道のファントマやジゴマとはちがった、人間味併せもつ怪人を描きだすガストン・ルルーの手腕。
本邦初紹介の人気怪人シリーズ〈シェリ=ビビ〉!
〈ベル・エポック怪人叢書〉
エッフェル塔が建ち、地下鉄が走る黄金期フランス――
ベルエポックの世に、怪人たちが跋扈する!
強盗、殺人お手のものの悪のアイコンを集成。
ベストセラー、ダークヒーロー犯罪小説!
「美しい時代」の怪しいヒーローたち――――小倉孝誠
ベル・エポックとは「美しい時代」という意味で、1900年の万博に象徴されるように、フランスの19世紀末から20世紀初頭を指す。当時のフランスには、世界でも破格の100万部前後の発行部数を誇る新聞が四紙もあり、その紙面を飾ったのがしばしば犯罪をテーマとする連載小説である。美しい時代は、犯罪者や悪党がうごめく不安な時代でもあった。〈ベル・エポック怪人叢書〉は、この時代を代表する作品を収めた魅力的なシリーズ。同時期のルブランが創造した怪盗ルパン以上に裏社会で暗躍する恐るべき、時として悲劇的な、そしてつねにカッコいいダークヒーローが登場して、息もつかせぬ物語が展開する。大衆文学とあなどるなかれ! 作者は当時最新の科学、医学、テクノロジーの知を駆使して、社会の闇と民衆の秘めた欲望をあぶりだす。現代人でもあっと驚くような技術や、状況の反転が利用される(詳細は読んでのお楽しみ!)。そしてこれらの作品は、誕生してまもない映画の題材にもなった。時代の感性と鋭敏に共鳴し、その後の大衆小説の流れに大きく影響した作品群の邦訳は、まさしく快挙である。
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