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批評家・福嶋亮大による書評集。ミシェル・ウエルベック『セロトニン』、マルクス・ガブリエル『新実存主義』、村上春樹『ドライブ・マイ・カー』、劉慈欣『三体』、スティーブン・ピンカー『21世紀の啓蒙』など、主にこの10年間に日本で刊行された文芸書およひ〓思想書を題材として、思考の《現在地》を描き出すことを目指した一冊だ。
筆者は本書にて「一冊の書物をグループ内の信号へと矮小化することなく、そこから潜在的な力を引き出すにはどうすればよいだろうか。本書はこの問題への私なりの応答として書かれている。思うに、書評とは、書物というウイルスの変異株を作成することに等しい。私は自らの作成した小さな変異株を一冊にファイルし、交差させ、ときにショートさせようとした。それは書物どうしを対話させること、つまり人間たちの部族主義から離脱して、むしろ本の生態系を組み立てることをめざすものである」と述べている。
批評家の浅田彰は、本書の帯に「あらかじめ用意した理論体系に都合のいい例を当てはめるのではない。多種多様な書物を、各々の文脈を考慮して批評し、そのコラージュによって大きな構図を浮かび上がらせる。優れた批評家にしか描けない、これは驚きと発見に満ちた時代精神の天気図だ」と推薦文を寄せている。
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