近代日本語詩を代表する詩人萩原朔太郎による詩歌の鑑賞、朔太郎が愛した詩人たちに関するエッセイと、『月に吠える』から『宿命』にいたる自作解説等をあつめた、「萩原朔太郎による詩の入門」と「萩原朔太郎の詩の入門」書。
柔軟で鋭利な批評精神とともに、同時代の詩と詩人と、日本語に向き合い、その特質や魅力を語りかける言葉を綴りつづけた萩原朔太郎は、近代の詩と詩人にかんする最良の案内人でもある。
本書は「詩の鑑賞・詩の理論・ことば」「朔太郎の評価した詩人たち」「自作詩・詩集について」の三部構成からなる。
第1部「詩の鑑賞・詩の理論・ことば」は、山村暮鳥、北原白秋、福士幸次郎、室生犀星、高村光太郎、佐藤惣之助、黄瀛、北川冬彦、西脇順三郎、三好達治など、朔太郎の注目した詩人たちの詩篇の鑑賞を中心に、ユニークな日本語論と「詩の作り方」に仮託した詩人論を収録。
第2部「朔太郎の評価した詩人たち」は、大手拓次、萩原恭次郎、三好達治、丸山薫、伊東静雄、中原中也、立原道造、西脇順三郎など、朔太郎と直接交流のあった詩人たちについて論じたエッセイを収録。
第3部「自作詩・詩集について」は、第一詩集『月に吠える』から晩年の『宿命』にいたる自己の詩集についてのエッセイや、自作解説・鑑賞を収録。とくに「叙情詩物語」は、それ自体が歌物語的な散文詩となっている。
朔太郎は、生涯をかけて日本語・文学・文化とその歴史の問題と対峙しつづけた詩人であった。日本の近現代文学、文化と向き合うとき、私たちは繰り返し、朔太郎の言葉に立ち返らずにはいられない。
巻末に、読者の理解の助けのため、編者の解説と解題、朔太郎の生前著作一覧を付した。
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