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山陽本線は東海道本線とともに「二大幹線」とよばれ、明治以来わが国の最重要幹線と位置付けられてきた。特に戦前・戦中は関釜連絡船を介し日本の支配下にあった朝鮮半島、勢力圏にあった満州(中国東北地方)への中心的交通路であり、軍都広島、旧海軍の重要拠点だった呉、佐世保への連絡の使命もありその重要性は高かった。戦後は大陸連絡の使命はなくなったが、北九州工業地帯に加え瀬戸内臨海工業地帯の発展が始まり、旅客、貨物とも一層の輸送力増強が求められた。
山陽本線は瀬戸内海に沿って走るという印象があるが、実際に乗ってみるとそのような区間は一部であり、中国地方独特の小高い山々に囲まれた平地を縫うように走っている。カーブも多く電車特急の時代になってもスピードアップの障壁になってきたことがわかる。1975年3月の山陽新幹線全線開通で一夜にして昼間の特急・急行列車が姿を消し優等列車は夜行特急・急行列車だけになった。その変化は衝撃的ですらあった。今までは夜行寝台特急も姿を消し、貨物列車と普通電車が走るだけだが、その重要性はいささかも変わることがない。本書はその山陽本線を走り関西と九州を結んだ往年の特急、急行列車を取り上げる。
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