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◆シリーズ最新刊
◆風土に対う直ごころ
甲子雄は満を持して初句集『藁火』を雲母社から刊行した。師龍太は序文を引き受け、「よもぎの香」と題する心からの讃辞を添えた。とても快活で親しげな文章である。甲子雄の母校の校訓に触れたのは、その人柄からも言辞、行動からも、それが堅固な礎になっていはしまいかと龍太が類推したためだが、よい意味で校訓との関連を想像して面白がっていたところもある。特に、新人発掘の指導力と人への気遣いなどには思い当たる節が多々あったのであろう。
〈甲子雄さんの句には、どこか早春の蓬のにおいがする。それも塩餡を入れた草餅の、キッパリとした素朴な風味である〉という喩えも端的で示唆に富んでいるようだ。「早春の蓬のにおい」だけでなく、「塩餡を入れた草餅」もまた、評というよりも、作品を成す上での一つの指針にもなり得ていたような気がするのである。龍太の言葉は、甲子雄がこれから心すべきことをそれとなく伝えていたように見える。
(解説より)
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