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1930年代、ナチスに迎合する富豪の両親に反発し、同性の恋人と共に中近東を旅したスイス人作家がいた。
同じように世界に居場所を失い、中近東に流れ着いた人々がいた。
旅先で出会った人々を繊細な筆致で描いた、さすらう魂の吹き溜まりのような短編集。
シュヴァルツェンバッハは冷徹な観察者の眼差しと簡潔な文体で、
オリエントの国々を彷徨う異邦人の荒涼とした自由、追放者の勲章としての孤独、
そして過酷な運命を優美に描いてみせる。
────山崎まどか
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