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モノの流通、経済の発展において要となる貨幣。
古来、その発行は、国家形成における重要なタームの一つであるが、中世日本においては、朝廷や幕府など公権力による貨幣発行はなされず、唐・宋・元・明などの中国歴代王朝により作られた銭が大量に流入し、さらには朝鮮半島の高麗・朝鮮やベトナムなど周辺諸国のものも加わり、それらの渡来銭を用いた貨幣流通が本格化する状況が現れることとなった。
公権力による裏付け・保証のない渡来銭が如何に国内通貨となり得たのか。
遠隔地決済を可能とする為替制度は、どのような信用基盤の上に成り立っていたのか。
そして、数百年間続いた渡来銭を基盤とする貨幣流通の状況に終止符をうった要因は何なのか。
貨幣というものの性質を考えるうえで興味深い問題を多数孕む日本の中世貨幣を、文献・考古資料を博捜し、東アジア的視点からも捉えなおす画期的成果。
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