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「モザイクタイル」とは、タイル1枚の表面積が50平方センチメートル以下のタイルのこと。かつては一般の家庭でもお風呂や炊事場で、あるいは銭湯や映画館、煙草屋などでごく普通に使われていました。驚くべきは、昭和を彩ったこのモザイクタイルの約8割が、わずか4キロ四方の小さな町、岐阜県多治見市笠原町で作られていたこと。その立役者は一人の青年・山内逸三で、彼の独創と努力によって、笠原町のタイルは日本全国に、そして世界に広まったのです。
笠原町では2016年、藤森照信氏設計による独特の建物も話題の多治見市モザイクタイルミュージアムが開館しました。本書は、同館所蔵モザイクタイルの名品を収録する第1部、23歳で美濃焼モザイクタイルを創製した山内逸三、そして彼と藤井厚二や甲子園ホテルとの知られざる関連を追う第2部、町全体がひとつの工場のような笠原町を訪ね、タイルの製造過程を紹介する第3部、人魚や桃太郎といった美しくも妖しいモザイクタイル画など、笠原タイルを今に残すレトロな街町を歩く第4部で構成されます。
なつかしいモザイクタイルを深く楽しく紹介して好評を博した初版に、山内逸三と藤井厚二の関係をさらに掘り下げるべく訪ねた聴竹居での発見、伊奈製陶のモザイクタイルカタログ、台湾のモザイクタイル建築などを増補して、今回「増補新版」として刊行します。
【目 次】
Ⅰ 昭和レトロタイル・コレクション
――多治見市モザイクタイルミュージアム所蔵品にみる昭和30年代モザイクタイルのデザイン
Ⅱ 山内逸三という青年がいた
――23歳で美濃焼モザイクタイルを創製した若者
Ⅲ タイルの町、笠原町の人びと
――町全体がひとつの工場
Ⅳ モザイクタイルの旅
――昭和をのこすタイルな街町
名まえの無い美(あとがき)
註・参考文献
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