皆既月蝕

皆既月蝕

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出版社
ふらんす堂
著者名
和田順子(俳人)
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2022年9月
判型
四六判
ISBN
9784781414744

◆第六句集



応へなきものへ語りぬ夜の秋



苦境にある方がよい作品が生まれるのかもしれません。深く考え模索する時代になりましたが、これも一つの試練であると思っています。(著者)



◆自選十五句

いくそたびその名問はれて翁草

石積の集落どこも枇杷熟れて

ジーンズに脚入れて立ち夏は来ぬ

炎天を歩む失ふものは無く

炎昼の孤独たとへば深海魚

サングラス卓に置かれて雲映す

応へなきものへ語りぬ夜の秋

牛冷やす牛より深く川に入り

特高を逃れし父の墓洗ふ

草の香やごぼりと水のありどころ

戻りたる椅子に秋冷来てゐたる

皆が居るやうに蜜柑を盛りにけり

開戦日マンホールの蓋ことと踏み

初礼者大きザックで来たりけり

小豆粥母は生涯京ことば

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