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子どもの頃に造形的な活動や図工の時間に周囲を見回して、かっこいい表現やきれいな色、珍しいパーツを友達やクラスメートの表現に見出した時、そっと真似をしてみたり、その色の出し方を教えてもらったり、表現に困った時にふと周囲に目を見張り適当な情報を探したりして、自分の表現に取り込んだ記憶が残ってないだろうか。
一方で、そのような行為に「真似をしてはいけません」と先生から注意を受けたことはないだろうか。これは、芸術表現においては、自分自身の表現重視、オリジナリティーこそ大切という創造性が善であり、模倣は悪と創造の対義語として位置づけられ、マイナスイメージを与えられてきた歴史的経緯がある。
これはこれで一理あるとも思えるのだが、善か悪かではなく、そもそも、幼児期から児童期にかけてよく出現する、表現の模倣とはどのようなものであるのだろうか。保育・教育者の研修会や研究会においてこの話題がしばしば語られてきた。客観的に見ても、幼児期から児童期にかけてこの傾向が強く出ることも否めないことである。
筆者は模倣から創造へ転換した新たな表現へのクリエイティブな作用があると仮定し、その作用を模倣する行為の中の美的経験の有無から実証してみようとした。
本書は模倣と創造の問題に黒白をつけることが目的ではなく、模倣と創造の親和性というか、この両者の現実的な存在や関係性を広く見つめ確認したうえで、模倣が創造への効果的な役割を果たすこと、特に幼児教育において、子どもが大人の想像をはるかに超える模倣の効果的な活用方法を自然のうち、かつ自主的に見つけ駆使していることを伝えるべく、1995年から2007年にわたり筆者とともに子どもたちの描画過程にかかわった保育者・教育者の実践から収集した貴重なデータを基にした研究をまとめたものである。
この時期の子ども間の模倣の意味を再考し、子どもたちの創造的な未来への小さな扉を開きたいと願い執筆した著者が長年取り組んだ研究の集大成でもある。
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