生きられた障害

生きられた障害

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出版社
洛北出版
著者名
二階堂祐子
価格
2,860円(本体2,600円+税)
発行年月
2022年9月
判型
四六判
ISBN
9784903127330

「親が出生前検査を受けていたら、この私は、生まれてこなかったのかもしれない?」――

 「障害」のある女性は、妊娠や出産、自分の親や、出生前検査について、何を思ってきたのか。「障害」のある男性は、パートナーの妊娠や出産に何を思ったか。

 また、「障害」のある彼ら彼女らは、胎児の「障害」や「疾病」を「知る」ための医療技術を使える社会について、どのように考えているのか。

 「障害に気づいた経験」「障害があること」「治ること」「女性であること」などをめぐる、一人ひとりの語りに耳を澄ませ、共に考える。

 ――「私の人生を勝手に決めつけないで!」

 * * *

 この本は、「障害」のある12名へのインタビュー調査にもとづき、「障害」をめぐる一人ひとりの経験について、根本から考え抜いている。

 まず、第1章と第2章では、インタビュー調査に応じてくれた人たちの、年齢、職業、パートナーの有無、「障害」の原因などにかんして、くわしく紹介している。

 つぎの第3章では、彼ら彼女らが、自分の身体にかかわる経験を、どのように語っているかを見ていく。そのうえで第4章では、それぞれの幼少期についての記憶をたどる。

 そして第5章では、「障害」のある彼ら彼女らが、出生前検査というものがあることを知ったさい、どのような「胎児」をイメージしたかを確認する。個人(私)の気持ちにおいて、「かつて胎児だった私」というイメージと、出生前検査で下された診断名から思い浮かぶイメージとは、同じなのだろうか? 違うとしたら、いかに切り分けられているのだろうか?

 この問いをさらに延長して、第6章では、「障害」という言葉が、一人ひとりの語りの文脈で、どのように機能しているかを見ていく。

 つぎの第7章では、「障害」のある自分自身が、生まれてくる子の母や父になるかもしれないという点について、彼ら彼女らの想いや考え方を取り上げる。また、出産経験のある彼女らの気持ちや体験も見ていく。そのうえで、出生前検査の「適応」者と見なされることが、いったいどのような経験なのかを浮かび上がらせる。

 そして第8章へとつなぐ補章では、1970年代に、自治体が出生前検査(羊水検査)を公費で実施しようとしたことに対して、脳性麻痺者の当事者団体「青い芝の会」神奈川県支部が行なった「胎児チェック反対運動」を振り返る。

 最後の第8章では、これまでの章で紹介した彼ら彼女らの唯一無二の経験と、そして、1970年代の障害当事者運動から今日へと至る社会的な経験とを踏まえて、「障害」をめぐる経験について、さらに考察を掘り下げる。

 なお、それぞれの章と章のあいだには、「障害」をめぐる8名の語りを一篇ずつ掲載している。彼ら彼女らがどのように語っているのか、文字から想像して耳を澄ませてくださればと願っ

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