「聖なるもの」の失墜が差別を生んだのか?
前近代・近代をつらぬく宗教と差別の構造を徹底して問い直し、「救済」の不可能性の先に、可能性の余白を読み取ろうとする新たな試み。
【目次より】
巻頭言(磯前順一・吉村智博・浅居明彦)
序章 差別と宗教の日本史のために
――宗教・前近代・余白――(佐々田悠・舩田淳一・関口寛)
第1部 排除と包摂の力学
第一章 古代日本の罪と穢れ(佐々田悠)
第二章 河原者と非人
――中世の〈排除〉されながら〈包摂〉される人々――(片岡耕平)
第三章 神職人
――近世の神道系神祇奉仕者をめぐる「聖」と「賤」――(井上智勝)
第四章 神道国教化政策期の神社祭礼と被差別民
――近江国における神仏分離と氏子加入――(吉村智博)
第五章 「祈り」への差別と「祈り」による差別
――近世から原爆後の長崎における被差別集団をめぐる宗教性と統治について――(山本昭宏)
第2部 秩序と禁忌(タブー)
第六章 古代伊勢神宮のハラエと罪・「穢」の特質
――両宮儀式帳を素材に――(西宮秀紀)
第七章 死穢を超越する神
――中世南都律僧の春日信仰に向けて――(舩田淳一)
第八章 悪神の神性の転回/展開と宗教的主体の生成
――差別・排除を超える構えへの問い――(河井信吉)
第九章 植民地朝鮮のアマテラス型一神教
――血族ナショナリズムの観点から――(青野正明)
第3部 救済とコスモロジー
第一〇章 日本の仏教と女性の〈救済〉(吉田一彦)
第一一章 律宗と親鸞系諸門流の聖徳太子信仰(後藤道雄・吉田一彦)
第一二章 井上正鐡の教えと救い(荻原稔)
第一三章 近代社会事業の形成と「救済」観の転換(関口寛)
あとがき(小田龍哉)
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