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月刊誌「短歌研究」に連載した作品を中心に編んだ第五歌集。
この時期、『聖書』の翻訳というかけがえのない仕事に携わり、また、長く関わった岩波ホール閉館に衝撃を受ける。
社会の大きなうねりの中で、著者は自身と世界を静かに見つめ続ける。
(収録歌より)
安全はいづこにもなく明日昇る太陽だけが標(しるべ)と思ふ
クルド語の映画にサヌレとふ女の子その名「国境」の意味と知りたり
掌(てのひら)に載るほど小さき男の像 戦争は人を縮めゆくもの
絵本には地球見をする家族をり三十年後の月の暮しに
廃墟画はなぜに美し森閑と雲をわかせてひかり満ちをり
何待つか知らねど今宵は前夜なりさやゑんどうの筋を〓きつつ
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