特集:日本画家の版画
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日本において、洋画家や日本画家の間で工房や刷師との協働による「版画」制作への関心が高まり出したのは、ようやく戦後になってからのことでした。戦前にもその機運がなかったというわけではありませんが、もっぱらそれは自画・自刻・自摺の創作版画や、浮世絵版画の延長に位置づけられる「新版画」(伝統木版画)の分野に向けられていました。
1954年に、刷師・女屋勘左衛門(おなやかんざえもん)と12人の洋画家によるリトグラフ集《セルクル・ド・ラ・グラヴール・デュ・ジャポン》(日本の版画クラブ)が明治書房から発行されます。こうした取り組みや、戦後に開催されたピカソやミロ、シャガールらの展覧会に出品された版画を目にする機会が増えたことから、次第に日本でも画家による版画制作が盛り上がり始めます。
やがて海外のコンクールで日本の版画が高く評価されるようになると、1970年代頃からにわかに版画ブームが興りました。美術品としての版画の刷りを専門に行う工房が爆発的に増え、画商や企業がこぞって画家たちに版画の制作を依頼し始めます。依頼を請けた画家たちは、試行錯誤を繰り返して、版画ならではの表現を追い求め、魅力的な作品が数多く生み出されました。その一方で、加熱する市場のニーズに応えるように、既にある絵画を原画とした、「複製版画」(エスタンプ)の制作も加速していきました。
本特集では日本画家による版画を紹介していますが、掲載した作品はすべて、画家が直接版に描画した、または版画のために下絵を描いた「オリジナル」です。本画の印象とは異なる版画や、これまでに制作した点数の多さに、新鮮な驚きが得られることでしょう。
第1章で「全版画」を掲載した田渕俊夫は、日本絵画の伝統につながるような線描や、水墨画のようなモノクロームの静謐な世界を確かな描写力で描き表します。2021年に画業60周年を迎えた日本画家です。田渕は初期から自分自身が版に描画することにこだわりをもっており、78点の版画のほぼすべてが自身の描版によるものです。
第2章では、片岡球子、東山魁夷、杉山 寧、髙山辰雄、加山又造、平山郁夫、上村淳之、中島千波、河嶋淳司、千住 博ら10名の日本画家たちが、挑戦と苦心の末に作り上げた版画の名品を紹介しています。
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