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文芸誌『季刊文科』連載作が待望の単行本化。
壮大なのに全てが身近な感じで、夢中で読み進んだ。争乱を生き延びる女性たちの美しい呪術と鎮魂のお話です。政彦くんはあいかわらず文章がうまいなあ!(吉本ばなな)
誰かの家の二階に集って織物、刺繍、縫い物、布鞋作りなど女紅と呼ばれる手仕事に従事する。そこで女書によって詠んだ詩を歌い、年配になれば自伝を書いて詠じた。女たちは、文字によって現実とは違う世界に遊び、苦しみや悲しみを発散した。彼女たちは苦しみや悲しみで縒った糸を文字にする。文字は涙である。詩や自伝という形式は、その涙を溜める袋である。彼女たちは、女書を習得することで涙の袋を抱え、そこに涙を捨てていたのだ。そして涙は笑いに変えられた。これは男性や親から抑圧され、不自由な身の上をかこつ彼女たちにとっては少なからぬ救いだった。(本文より)
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