迦陵頻伽

迦陵頻伽

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出版社
ふらんす堂
著者名
柏木博
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2022年8月
判型
四六判
ISBN
9784781413785

◆第一句集

ざんと水突く寒暁の刀鍛冶



灼熱した刀を水に浸ける焼入れの瞬間だ。「ざんと」の擬音語は単純だが揺るぎない。寒暁の設定もよく、忽ち濛々と水が沸き立つ中に、爛々と目を輝かせた刀鍛治が現れる。何より惹かれるのはこの句の厳しい声調だ。内容にふさわしいその韻律が、俳句を読む喜びを満喫させてくれる。

序より・小川軽舟





◆自選十五句

二二六の翌年春に生まれけり

少年に迦陵頻伽や水眼鏡

行く春のソファーの座り窪みかな

アウンサンスーチー女史の蚊を打つや

あたたかや先に逝くのを譲り合ひ

サイレンの音は変はらず広島忌

蟻地獄大いなる眼に覗かるる

二階から外を見てゐる秋の暮

邯鄲の夢いま醒めしごとく止む

煮凝や叶はぬことを夢となむ

公園の飛べぬ白鳥憂国忌

ざんと水突く寒暁の刀鍛冶

風花や淡く執念き旅心

老醜の心な見せそ冬の菊

初鴉羽織ごろつきしてをりぬ

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