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日本の金融危機が先進国間で突出して長期化した理由は何か。危機克服のために再構築が進められた倒産法制はその要請に応えられたのか。金融機関、官僚、法律家、研究者等に対する綿密な取材で得られた情報を比較制度分析の手法によって体系化し、経済システム転換の困難さを経路依存性の視点から捉えて全貌を明らかにした。
■白川方明(前日本銀行総裁)氏推薦
倒産制度は経済や社会のありようを最も深い所で規定している。日本のバブル崩壊以降の経験はこのことを端的に示している。不良債権問題の「先送り」も近年の生産性上昇率の低迷も、倒産制度という補助線を引き、しかも「通し」で議論することなしには理解できない現象である。しかし、この作業は容易ではない。まず制度自体が複雑である。同じ倒産でも金融機関と一般企業とではシステミック・リスクの有無をはじめ重要な差異も存在する。そして何よりも、制度の変容をもたらす大きなメカニズムについての理解が必要である。著者は倒産制度の変遷を単に追うだけでなく、それをもたらした政策形成プレイヤーの行動に注目し、政治や社会との関係、組織と個人、理論と実務等幅広い視点から様々な教訓を引き出そうとしている。私はこうした書物の出現を長い間渇望していた。この難しい課題に挑戦した著者の勇気、情熱、責任感に心より敬意を表するとともに、現在の閉塞的な社会状況からの脱却の糸口を探している多くの人に本書を推薦したい。
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