振り向きざまのリアル

振り向きざまのリアル

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出版社
知泉書館
著者名
土橋茂樹
価格
3,520円(本体3,200円+税)
発行年月
2022年7月
判型
四六判
ISBN
9784862853677

振り向いた瞬間,人は日常の風景とは違ったものに出合う。本書は普段は気付かずに見すごしていることを,身近な素材をとおして,そこにひそんでいる意味を見事に引き出してみせる。これらの良質で機知に富んだエッセイは,楽しみながら精神の滋養になるだろう。
「哲学する」とは何か? ここでは知識としての哲学ではなく,生きるための哲学について考える。ギリシアや教父の哲学に精通し,豊かな教育経験を踏まえた著者の含蓄あることばは,多くの刺激と気づきに満ちている。
身近にあるリスクや情念,神性と人性と獣性,母と幼児の交流,東西文化,そして私たちは何処から来たのか,さらに映画や演劇,文学,落語の世界に羽ばたく著者の旺盛な関心は,個別の事柄への探究とともに,人間とは何かという興味と人間への愛情に触発されて,読者は吾知れず立ち止まって考えている自分を見出すだろう。
「大哲学者が命を落とす時代ではなく,多くの市民哲学愛好家たちが人間として連帯できる時代」になったと,著者は哲学の社会的使命を訴える。哲学を専門家の独占物ではなく広く市民の手に取り戻すことが求められている。
先端的な技術,急速な情報化による知識の断片化,情動的なポピュリズムの勢い,さらにグローバル化による世界の拡張と複雑化,そして何よりも地球環境問題に向きあうために,今,哲学が試され,哲学復活の時代を迎えている。

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