死にとらわれた芸術家の生涯を辿る。
女優のブロマイド、天体図、貝殻などが箱に収められた作品を、生涯に800点以上制作。そのほか映画制作や雑誌デザインなども手がけたジョゼフ・コーネル(1903-1972)は、デュシャンのレディメイドや、ありふれた廃物を用いたシュヴィッタースなど、すぐれた現代美術の系譜に連なりながらも、ニューヨークの地で新聞や雑誌の切り抜き、衣装の切れ端、B級映画のフィルムといった取るに足らないものに魅せられ、作家人生のすべてを懸け、それらを寄せ集めた作品を作り続ける。「大人のための玩具」やクリスマスの贈り物と見られる一方で、コーネルの作品を見たサルバドール・ダリは羨望から逆上し、「着想はあれとまったく同じで……文字にしたことも誰かに話したこともない。でもまるであいつが盗んだみたいなんだ」と嘆いたという。コーネルはつねに生きている人間を警戒し、安全な距離を保つことを心がけていた。「この世を去った著名人と深く自己同一化し、彼らの人生に自身を没入させるのが大好きだった」。没後50年記念出版。この新版では作品図版の代わりに、原注の翻訳を加え、索引を充実させる。コーネルの生涯を函入りでお届けする。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。