近代的主体の哲学は、美学から始まる
人間は美をいかに捉え、美は人間をいかに主体たらしめるのか。本書はバウムガルテンとカントの美学を出発点に、ヘルダーやシラー、ニーチェ、フーコーまでの系譜を人間にそなわる「力」という観点から辿り直し、美学史の刷新を試みる。現代ドイツで最も重要とされるフランクフルト学派新世代の思想家による、美的人間学始まりの書。
「美的な経験とは、実践的自由からの自由が存在するという経験である。この自由とは、固有の力を他の仕方で展開するための自由を与えられるということであるがゆえに、異他なる圧倒的権力への屈服ではない。美学の最後の言葉は、人間の自由なのである」(本書より)
○目次
凡例
文庫版への序言
序言
第一章 感性──想像力の無規定さ
感官の恣意/病理学的(パトローギッシュ)な効果/感性的なものの「内的原理」/力と能力
第二章 実践──主体の訓練
感性的な明晰さ/訓練/魂は主体である/個人と規律
第三章 戯れ──力の作用
美的系譜学/表現としての力/魂の曖昧なメカニズム/普遍性なき統一/「上位の力の傷つきし者」
第四章 美化──実践の変貌
霊感から生動化へ/自分自身のための感触/美的になること/展望──美学理論
第五章 美学──哲学の論争
完全性から自己確認へ/新旧の争い
第六章 倫理学──自己創出の自由
芸術家から学ぶこと/〈できないこと〉ができること/生ある運動/他なる善/
美的な自己享受/自分自身を創造すること
訳者解題
訳者あとがき
注
略号一覧
初出一覧
索引
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