取り寄せ不可
全国の私立の精神科病院を中心とした組織である日本精神科病院協会の会長であり、練達の精神科医である著者は、精神科医療のあり方について、長年積極的な提言を続けてきました。本書は、『誰も教えてくれなかった』(2017年、文藝春秋企画出版部刊)に続く2冊目の著者のエッセイ集で、前著同様、協会の機関誌に毎月掲載されている著者の「巻頭言」を収録したものです。著者は本書の「まえがき」で、こう述べています。「政策担当者自身の無理解と偏見で、精神障害者が地域で安心して暮らせる世の中にはなかなかならない。(中略)精神障害者は好き好んで障害者になったわけではなく、社会的弱者である。(中略)国は少子高齢化社会の中で持続可能な社会保障制度を維持するための財政健全化などと美辞麗句を並べるが、尽きるところ消費税増税、社会保障費削減、本人負担引き上げといった本音が透けて見える」。著者はこうした怒りを胸に、本質的な改革に向かおうとしない現在の精神科医療に、真っ向から切り込んでいきます。その切っ先は、少子高齢化社会への国の対策、働き方改革の行方、コロナ感染症への対処法、さらにはマスコミのあり方から世界の政治情勢にまで及びます。いわば「歯に衣着せぬ憂国の書」であり、その鋭い切れ味に留飲を下げる読者もきっと多いことでしょう。精神科医療の現状に、また、万事きれいごとで済ませる官僚たちや、建前と本音が違う政治家たち・マスコミ人士にうんざりしている読者諸氏に、必読の書としてお勧めします。
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