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画(か)くよ、画くよ。素晴しいものを――
大正ロマンの旗手が、その恋愛関係を赤裸々に綴った自伝的小説。
評伝や研究の基礎資料にもなっている重要作を、夢二自身が手掛けた
134枚の挿絵も完全収録して半世紀ぶりに復刻。ファン待望の一冊。
解説:末國善己
「なかなか画けない。こんどはすっかりモデルを使わずに、頭と感覚だけで画いて見ようとおもっているんだが、どうもやはりぼくには写実の手掛りがないと構図がつかないんだ。そう言えばぼくの生活にもその傾向があるね」
「どういうことなの」
「つまりひとりでは寂しくていられない人間なんだね」
三太郎は吉野の顔を見ないで、それを言った。吉野は黙っていた。そして、暫(しばら)くして言った。
「これからはお出来になるわ、きっと」
それは三太郎に対する愛の最初の言葉でもあり、遠く家を捨て、男の許へ身を寄せた娘の、自分に言いきかせる、誓言(せいごん)でもあった。(…)
「画くよ、画くよ。素晴しいものを」(本書より)
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