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転形期を読む
私はこのふたりのうら若き歌人を、一方から一方へと見るのでなく、一方に加担するのでもなく、その折々を、どこまでも平衡感覚のなかで眺めることで、私なりに明治末期という転形期の時代相をとらえてみたいと思った。
(「私にとって歌とは何か」)
文学的挫折をへて『一握の砂』を刊行、揺れる時代を鋭敏な感性で切り拓きつつも夭折した石川啄木。「アララギ」の師・伊藤左千夫との対立のなかで自らの歌と歌論を磨き上げ、『赤光』に至る斎藤茂吉。二人の若き歌人の、ときにすれ違い、ときに重なる足跡を辿り、近代短歌の結節点をとらえなおす交差的批評。装幀=髙林昭太
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