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漱石の『それから』に登場する白百合はテッポウユリかヤマユリか。植物オンチと言われた三島由紀夫のほかにはない克明な描写からその汚名をそそぐ。鏡花、芥川、安部公房ら、広大な文学作品の森に息づく草花を植物学者が観察。新たな視点で近代文学を読み解く。
〈解説〉大岡玲
Ⅰ
漱石の白くない白百合/描かれた山百合の謎/『金色夜叉』の山百合/白百合再考
Ⅱ
『虞美人草』の花々/朝顔と漱石/毒草を活けた水を飲む事/泉鏡花描く紅茸/「ごんごんごま」とは?/ごんごんごまの本名/クロユリ登場/芥川の心象に生えた植物
Ⅲ
三島由紀夫と松の木の逸話/再説三島と松の木の逸話/洋蘭今昔/志賀直哉と藤の巻き方/スイートピーは悲しみをのせて/『デンドロカカリヤ』異聞
Ⅳ
関東大震災でカビた街/小説とチフスの役割/小石川植物園を読む/三四郎池の植物散歩
あとがき/文庫版あとがき/〈解説〉大岡玲
作品名索引
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