筑波大学 社会・国際学群 社会学類は2019年度より専門導入科目という科目群を開設した。その一つとして、本書のタイトルである「経済学の最前線」という科目を本書の著者陣が協力して開講している。例年200名程度の履修者が、文系理系を問わず全学から集まってくる。学問領域を越え、より多くの人に経済学という学問の奥深さと面白さを同時に提供しようとする、この少々挑戦的な科目の内容をまとめたものが本書である。
第1章「経済学とは何か」は、伝統的な経済学の考え方の基本解説から説き起こし、さらにその現代的な応用例の解説まで広くカバーしている。
第2章「ゲーム理論の基礎と応用」は、現代経済学の進展に大きな影響を与えているゲーム理論の解説である。
第3章「マルクス主義エコロジー批判」は、経済思想の観点から広範な環境問題への視座を提供している。
第4章「開発経済学の挑戦」は,世界の貧困・格差問題とその解消に向けた学問と政策・実証に関する解説である。
第5章「近代化・近代経済成長を考える学問としての経済史」は、歴史学的視点と社会科学的視点が交差する経済史という総合的学問の特徴について解説している。
第6章「グローバル競争下の革新的地域中小企業」は、グローバル競争下の現代日本経済の中で、独自の事業展開によって地域経済の発展に寄与しうる中小企業の特徴を解説している。
上記のように本書は、経済学という学問を構成する理論、思想、実証、政策、歴史、現状分析などの多様な観点を、一定の専門性と共に紹介するものであり、これに誘われた読者が、自分の興味に沿う専門分野を見つけ、豊かな学問探求の生活をしてみたいと思ったなら、著者陣にとっての望外の喜びである。
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